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東アジアの風見鶏

政治と外交と軍事についてです。

韓国のナショナリズムと絶望的な日韓関係

東亜政治

大統領選を目前にして、THAADの設置について中国が韓国へ報復へ動いています。

そもそもTHAADとは何でしょうか。アメリカが北朝鮮の核に対応するために、韓国に設置を進める、ミサイル防衛システムのことです。ですが、中国は北朝鮮のミサイルだけではなく、中国は韓国にアメリカのミサイル防衛システムがあることをよしとしないため、いまでもこのような対立が続いているのです。

 

www.chosunonline.com

中国側としては、韓国の大統領選挙までこのような攻勢を続ける可能性があります。なにせ大統領選挙で独走状態のムン候補は左派寄りで、THAADは設置すべきでないと明言しています。仮にTHAADが設置されない場合、米国の安全保障担当者は在韓米軍を撤退を示唆する可能性もあります。

www.chosunonline.com

何より危険なのは韓国が中国とも日本とも関係が悪化しているのが、韓国にとってまずいでしょう。韓国の不安定化は朝鮮半島全体の不安定化にもつながります。ですが中央日報の見方はまだまだ甘いようです。

日本も韓日関係の間で新たな障害物に浮上した浮石寺(ブソクサ)仏像の引き渡しおよび独島(ドクト、日本名・竹島)少女像設置問題など、韓国の努力で事態の悪化を食い止めた事実を心に留めておくべきだ。

韓国は「仏像引き渡し問題」も「竹島慰安婦像設置」についても、韓国から出た錆だと言うことを理解していないようです。日本政府は日韓合意が履行される道筋を韓国が示さない限り、駐韓日本大使が戻ることはないと思われま

沖縄独立運動は手法も主張もダメ

雑記

このような記事が注目されています。

news.yahoo.co.jp

台湾の独立運動、香港の雨傘運動と同じように沖縄の独立運動を記事にしています。その中で目を疑った部分があったので引用します。

目を引いたのは、今回のシンポで、琉球独立学会の共同代表である松島泰勝龍谷大教授が、台湾独立運動批判を展開したことだ。そのセッションは「会員向けの内容です」との理由で私は会場の外に出されてしまったのだが、のちに出席者から確認した話では、松島氏はこんな主旨の主張を展開したという。
「日米との連携や中華からの離反を志向する台湾独立運動は、日本からの『脱植民地』や米軍基地の撤廃を求める琉球独立運動とは大変違う方向を目指している。

少なくともこの引用部分から不思議な部分は二つあります。一つはシンポジウムで一般人向けと会員向けに区別している部分です。特に会員向けの内容ですと述べて、記者を排除すると言うことは、記者に聞かれるとまずいと主催者側が認識しているから排除したのだと思います。そのような方法は運動としての透明性に欠けています。

もう一つの部分は沖縄独立を旗印にする運動家が、台湾の独立運動を批判している部分です。正直、世界のさまざまな国の状況を見てみても、スペインのカタルーニャ地方やカナダのケベック地方、イギリスのスコットランドなど独立運動はどの国でもあることです。東アジアのみに注目してみますと、香港の雨傘革命運動も台湾の独立運動も、他の運動と連帯することはあっても、反対することは聞いたことがありません。

記事でも述べられていますが、台湾や韓国の運動は中国から日米に接近しているのに対し、沖縄の運動が日米から中国に接近しているように見えるのは大変興味深いです。

個人的な意見を申し上げると、沖縄にある米軍基地は沖縄の負担が大きいので、米軍基地に反対するという心情は、私も共感できるのですが、だからといって他国の独立運動を批判したり、シンポジウムからマスコミを排除するという手法は共感することができません。むしろこのような手法を続けて言った場合、沖縄独立を支持する人の数は減少していくものだと思われます。

SEALSにしろ沖縄の運動にしろ、もっと他国と連帯したほうが、運動として共感を得やすいとおもいます。

川口マーン恵美「ヨーロッパから民主主義が消える」

欧州政治 書評

書評です。

 

ドイツ在住の筆者だからこそわかる、現在のヨーロッパの分裂に原因について書かれた本です。

昨年に話題となったイギリスのEU離脱ですが、イギリスだけでなくフランスでは「国民戦線」が、ドイツでは「PEGIDA」が、イタリアでは「五つ星運動」が、というようようにそれぞれの国でEU離脱を叫ぶ組織が勢力を拡大しています。

このような勢力が伸長する大きな影響と鳴った事件が「ギリシャ危機によるEU全体の経済危機」と「シリア内戦によるヨーロッパへの難民の流入」を上げています。

そもそもEUとは自国通貨をユーロに変更したり、シェンゲン協定による国境解放などによって自国の主権を譲り渡すことによってはじめて成り立つ経済機構です。

そのような中で、ギリシャ危機によってEU各国の利害関係がむき出しになり、それは自国中心のナショナリズムの温床となってしまいます。そのような中で追い打ちになったのが、シリア内戦による難民問題です。崇高な理念を掲げるドイツと難民を救う余裕がないハンガリーなどの国によって、EUの統合の理念が揺らぎ始め、とどめの一撃となったのがフランス同時多発テロでした。

そしてそれがイギリスのEU離脱、さらに言えばイスラム差別を煽るトランプ大統領の誕生につながったのだと思います。

この本によって、私がぼんやりと考えていたことがはっきりと言語化された気がします。これからフランス大統領選によって極右政党が躍進するのか注目を集めていますが、躍進した場合EUの分裂は決定的になるでしょう。

藤原帰一「戦争の条件」

書評

書評です。

戦争の条件 (集英社新書)

戦争の条件 (集英社新書)

 

 

国際政治学者として有名な藤原帰一氏が書かれた本です。

国際政治で問題になっていること、領土問題・紛争・歴史認識ナショナリズムについて例を挙げながら述べていきます。

たとえば「A国に侵攻されたB国が、第三国であるC国に派兵を求めてきた、C国はどのような行動をとるのだろうか」という問いを上げながら、国際政治ではこのようなことが過去に行われ、このようなことが問題になっているという具合に、国際政治学について解説しています。

そのような問いから、私たちが国際政治をどのような視点で読み解けば良いのか、この本は示してくれるのです。戦争の条件とは、逆説的に言えばすなわち平和の条件でもあり、他国との戦争を防ぐためには、やはり国際政治学の理解は欠かせないものです。

遠藤誉「チャイナ・ジャッジ」

書評

書評です。

チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男

チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男

 

 

Newsweekで中国について連載している、遠藤誉氏の著作になります。

遠藤誉氏はこれまでに、中国政治、特に中国首脳とよばれる「中国共産党中央政治局常務委員会」の選出について解説した「チャイナ・ナイン」は一作目。

日本と中国との間で領土問題となっている尖閣諸島について歴史的経緯から、中国政府の「言い分」をつぶしていく「チャイナ・ギャップ」は三作目です。

今作は2012年に中国で失脚した薄煕来の生涯と失脚のきっかけとなった薄煕来事件について詳細に述べられております。つまり中国政府による薄煕来への判決「チャイナ・ジャッジ」に至るまでの経緯について描かれています。

薄煕来は中国首脳である「チャイナセブン」に選出されることが予想されるほど、中国共産党のトップまで上り詰めましたが、反対勢力によってチャイナセブンへの道が閉ざされて、その後に起こったのがあの失脚事件でした。

それによって薄熙来中国当局によって逮捕されることになり、一人の男の野望は閉ざされることになります。

この本でわかるのは、中国政府内部の混沌とした政治闘争であり、内政や外交の不安定化を招いている気がしてならないのです。

佐々木毅「民主主義という不思議な仕組み」

書評

書評です。

民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書)

民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書)

 

 

私たちが当たり前だと思っている民主主義について、古代ギリシャのポリスの民主政から現在までの議会政治について書かれており、高校生が読んでも理解できるぐらい平易な文章で書かれています。

この記事で民主主義とは何かについて書くつもりはありませんが、「民主主義の中での少数派」や「ナショナリズム」や「政党政治」など、いまの民主主義の仕組みや問題点を、根本から解説しています。

正直、私たちは現代社会という社会科目で「民主主義」について教わっているはずなのに、教科書特有の格調高い文章で全体として硬いんですよね。たとえば三権分立や、選挙制度などはその典型です。そのようななかで、民主主義について10代にも読みやすいかつ深い内容を扱っている本書は、その点で優れていると思います。

最後のコラムでは18歳選挙権を取り上げ、改めて民主主義とは何かを問い直すことができると思います。

裏口でも領事館近くに慰安婦像があるのがアウトなの。

東亜政治

少し前にこのようなブログが注目されていました。

tabisaki.hatenablog.com

このブログの主張は「慰安婦像は領事館の裏口に配置してあり、人通りの少ないところにあるのであまり問題にならない、日本政府は騒ぎすぎではないか」

という内容でした。

ウィーン条約の第二十二条にはこのような条文があります。

接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。

話を整理しましょう。

少なくともウィーン条約の批准国には「公館の威厳を侵害する行為」を防止する責務があるわけで、韓国政府もそれを認知しているわけです。韓国には外国大使館の半径100m以内でデモをおこなうことを法律で禁じています。しかし、ソウルの日本大使館前では、記者会見の名目で水曜デモが行われており、2011年に像が設置されて以来、韓国政府がこれを黙認しており、日本大使館前ではウィーン条約違反の状態が続いておりました。

一番問題なのは韓国政府がこのウィーン条約の問題で各国にダブルスタンダードの姿勢をとっていることです。

在韓米軍の米兵が中学生をひき殺してしまった事件で、韓国の市民団体が犠牲者の記念碑を、駐韓アメリカ大使館近くに設置しようとしましたが、韓国政府はこれを許可しませんでした。その後、碑はアメリカ大使館から離れた場所に無許可で設置されましたが、これも後に撤去されています。

web.archive.org

また、中国大使館前に韓国の市民団体が「脱北少女像」を設置する動きがありますが、韓国政府の外交部は「設置されたら撤去せざるおえないだろう」と発言しており、この日米中の対応の差は、どう考えてもダブルスタンダードです。

zasshi.news.yahoo.co.jp

ですので、裏口とか人通りの少ない云々よりも、韓国政府にウィーン条約を守る意思があるのか、それが問題なんですよ。しかも、それをこちらの国には適用し、あちらの国には適用しないという恣意的な運用は、まぁ国家としてよろしくないよね。

追記:ちなみにソウルの日本大使館前の慰安婦像は、正面に設置されております。上記のブログの筆者の論理からすると、日本大使館前の慰安婦像はアウトになります。