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東アジアの風見鶏

政治と外交と軍事についてです。

米国の衰退と、国際経済の停滞

アメリカのトランプ大統領が出した大統領令が波紋を呼んでいます。

www.nikkei.com

ロイター通信が1月31日発表した世論調査結果によると、イスラム圏7カ国からの入国禁止などを命じたトランプ米大統領の大統領令に賛成する人が49%となり、反対の41%を上回った。27日の発令以降、全米で抗議活動が目立っているが、国民の間では賛否が分かれていることが明らかになった。

合衆国は様々な国籍のビジネスマンや学者が自由に競争できる国だからこそ、超大国を維持できたのだと思います。日本や中国や欧州の優秀な学者がアメリカに行くのは、優秀な学者たちが集まっていくからです。そのような中で上記の大統領令を出してしまうのであれば、研究者や起業家たちはアメリカを目指すことなど無くなってしまうでしょう。

jp.wsj.com

 米国の貿易政策の歴史に詳しいダートマス大学のダグラス・アーウィン教授はトランプ政権の当局者について、「必要なことを現実的にみているとは思えない」と述べ、貿易ルールの変更には「非常に複雑で時間が掛かる。米経済に大きな混乱を招かないことを確認する必要がある」との見方を示した。 

この行動も同様です。自由貿易圏を構築することで、自国の企業が参入できる市場を拡大することを、各国が血眼になって推進して他のですが、この大統領令は流れに逆行しています。しかも、米国には世界的な多国籍企業の本拠地が多くあります、多国籍企業が世界の市場にアクセスできなくなるのは、そのまま企業の衰退につながります。

この数週間でトランプ氏の経済認識があまりにも現実と乖離していることを、世界の人々は認識しました。事態が深刻なのは、入国禁止令などが一定の支持を得ていることです。ある意味ではとても民主主義的だと思いますが、この行動はアメリカの国益を確実に損なうことになってしまうと思います。

パン候補の出馬辞退により、中国に急接近する韓国。

日経ビジネスの鈴置氏のコラムみたいなタイトルのつけ方をしましたが、どうやら前国連事務総長のパンギムン氏が大統領選の出馬を辞退したそうです。

www3.nhk.or.jp

去年まで2期10年にわたって国連事務総長を務めたパン・ギムン氏は、年内に行われる大統領選挙に立候補する意向を示し、保守層を中心に支持を集めて世論調査の支持率では野党のムン・ジェイン氏に次ぐ2位につけていました。 

少なくともこれから行われる韓国大統領選挙で数少ない親米寄りの候補者の一人だったのですが、対立候補支持者からの妨害や日韓合意についての過去の発言から非難され、立候補を断念した形になります。

そのような中で注目されるのは残りの候補者リストですが、ほとんどの候補者が中国・北朝鮮寄りであり、日韓合意破棄を明言していたり、米国のミサイル防衛システムTHAADを配備しないことを明言していたりと、日本の安全保障に非協力的な候補者が支持を集めています。

文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党前代表はもっとも大統領になる可能性が高いと言われている候補者です。中国寄り、北朝鮮寄り、日韓合意破棄、アメリカとの安全保障に非協力的です。

李在明(イ・ジェミョン)城南市長は韓国のトランプと言われている人物です。過激な発言でマスコミの注目を集めて支持を得ている人物です。韓国版橋下徹と個人的には考えております。ムン候補と同じ中国寄り。

安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事は盧武鉉元大統領の最側近と言われた人物です。上の二人と同じく左派。

そしてパク氏の出馬断念により、注目されているのが安哲秀(アン・チョルス)国民の党前代表です。若年層から支持されているようです。中道の傾向です。

そして黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行首相にも注目が集まっています。まぁ本人が立候補するかはとても微妙ですが。

可能性としてこの5人の候補者をリストアップしましたが、事実上のムン候補の1強状態が続いており、そうなれば日本との関係改善は遠のくことになるでしょう。

韓国大統領選挙の動向に注目です。

トランプ米政権下の東アジア情勢

トランプ氏がアメリカ大統領になってだいたい一週間ほど経ちますが、オバマケアの廃止、メキシコ国境での壁の建設、NAFTA離脱などの選挙期間中から明言していたことをそのまま行動に移しているようです。

そうなる場合、東アジア情勢はどのようになるでしょうか。とりあえず6カ国協議でアメリカを除いた5カ国を比較してみましょう。

日本

トランプ氏の経済認識は80年代のままですので、通商関係で日本と衝突が起きる可能性があります。すくなくとも日本としては事実を淡々と述べればいいのですが、トランプ氏は意に介さないでしょう。もう一つの懸念事項として、在日米軍の基地負担を日本政府に求めてくるでしょう。

中国

トランプ政権成立前から、米中関係は不安定化しています。特に「一つの中国」という、台湾と国交を行わないという方針を覆す可能性もあります。米中が対立しているのは、日本が米国の支援を受ける上では良いのだと思いますが、過度に米中関係が悪化してしまうと、戦争のリスクが高まってしまい、日本もその影響を受ける可能性もありあす。一番注目の関係でしょう。

韓国

米韓関係の前に日韓関係が全くうまくいってません。アメリカ政府の立場からしてみたら、日米韓の連携によって北朝鮮に対抗するはずですが、韓国国内の政情不安から韓国が各国との関係をどのように構築するかはいまだに不透明のままです。5月頃行われるであろう大統領選挙で野党の文氏が勝利した場合、日米韓の連携は絶望的になるでしょう。

北朝鮮

トランプ氏はキムジョンウン氏との会談に意欲的な発言をしておりました。それが事実だとするとアメリカと北朝鮮との関係が接近する可能性もあります。

ロシア

トランプ氏はかなりの親プーチン的な発言を繰り返し述べていました。もし米ロ関係が改善した場合、アメリカと欧州との関係は後退せざる終えません。特にシリア情勢、クリミア情勢ではオバマ政権下では全く逆の行動をとる可能性もあります。こちらは米中関係と同じくらい注目されている関係です。

すくなくとも超大国アメリカが外交方針を変更した場合、欧州、東アジア、中東、どの地域もかなりの影響を受けることでしょう。とりあえず、いまは日米関係を注視します。

共産党は日米同盟の対案を示して欲しい

共産党機関誌の赤旗がこのような記事を載せていました。

「日米同盟第一」 根本から見直しを/「米国第一」とは最悪の組み合わせ 志位委員長が会見

抜粋します

安倍政権があらゆる問題で「日米同盟」を至上のものとする「日米同盟第一」を続けるなら、「際限のない従属の道を進むことになる」と警告。「『日米同盟第一』でいいのかということを、いま日本は根本から問い直すときにきています」と強調しました。

志井委員長は「トランプ米政権下では、安全保障上のリスクが大きい」と述べているわけです。
私はこの意見に関しては全面的に同意しますし、トランプ氏の外交方針はトランプ氏のきまぐれによって支配される可能性がある点に関しては、懸念を共有していると思います。

しかしこの記事では、それ以上の続きは書いておらず、日米同盟以外の日本の安全保障の方針に関しては全く書いておりませんでした。

すくなくとも日本が日米同盟を破棄した場合、日本の安全保障は不安定化します。代案として思いついたことを書きたいとおもいます。

1 中国側につく

 いわゆる韓国と同じ道を辿るルートです。この場合ですが、これこそ志井氏が述べる「際限のない従属の道」を進むルートです。それこそ中国の外交は、南シナ海基地問題に代表されるように、武力によって支配する「覇道」ですし、それはアメリカ政府と太平洋で敵対する関係になってしまう恐れもあります。すくなくとも日本の有権者がこの選択肢を行うことは無い気がいたします。

2 防衛力を高める

 日本の防衛力を高めるというルートですが、これは経済的な負担が大きい気がします。もっとも懸念されるのが、日本が軍備を拡張した場合、日本国憲法9条との兼ね合いはどうなるのかという問題です。日本において憲法9条改正に反対する意見は数多くありますし、共産党憲法9条の現状維持を党是としているので、一番この選択肢を嫌うのは共産党自身でしょう。

3 何もしない

 最も安全保障上のリスクが高まるのがこの選択肢です。一番わかりやすいのは民主党政権下末期の状態でしょうか。韓国大統領の竹島訪問、ロシア大統領の北方領土訪問、中国漁船による尖閣諸島の紛争など、隣国との間で数多くの紛争が起きてしまう恐れがあります。すくなくとも私は同意できません。

再度申し上げますが、志井委員長には是非日米同盟の代案を示して欲しいとおもいます。「日米同盟のリスク」を繰り返し述べたとしても、「そうだね」としか返せませんし、政権を取る気でいるのであれば現実的な外交方針を語るべきだと思います。

韓国政府は日韓合意を破棄するつもりなのか

韓国外交当局者が日韓合意について述べている中央日報の記事がすごいです。

japanese.joins.com

抜粋しますと


韓国外交部当局者が25日「慰安婦問題に関する12・28合意の目標は慰安婦被害者が満足できる名誉回復や心の傷の治癒であり、日本政府が10億円を拠出したからといって義務を果たしたわけではない」と話した。

つまり韓国政府としては「10億円の拠出のほかに、日本政府に追加の要求をする」と述べているわけです。これは「最終的・不可逆的な」合意に反していると考えられます。

ほかにも、
韓国の反対世論が依然として存在することについては「色々な原因があるだろうが、日本政府の真正性に問題があると思う。様々なルートを通じてこのような立場を(日本に)伝えており、その部分が補完されるように努力する」と説明した。

韓国政府が釜山の日本総領事前に慰安婦像が設置していたのを静観したしたことを差し置いて、日本政府の「真正性」に問題があると述べているわけです。日本政府からしてみたら慰安婦像を撤去しない韓国政府に、履行する気がないのではないかと疑わざる終えないレベルです。

すくなくとも、韓国政府は日本政府を批判する前に、日韓合意の履行を着々と進めて欲しい所存です。履行する前に「日本に問題がある」と述べるのであれば、日韓合意を破棄するつもりなのか考えざるおえません。

韓国の司法が、韓国の国益を毀損している。

対馬で韓国人窃盗団に窃盗された像が、韓国の寺に所有権があることを太田地方裁判所が判決しました。

www.asahi.com

私は韓国の国内法についてはあまり詳しくはありませんが、少なくとも日本側からしてみたら「韓国人窃盗団に窃盗されたまま、韓国の司法にお墨付きを与えられた」わけですから、対馬の観音寺からしてみたら、これほど不快なことはないでしょう。

韓国側の判決文を読むと、「倭寇によって略奪されたことは明らかであり、浮石寺に所有権があるべき」と書かれています。つまり、対馬の寺が問題の像が倭寇によって略奪されたものではないことを証明しなければ、像が返還されないという悪魔の証明を強いるものなのです。

少なくとも日韓ともにユネスコ文化財不法輸出入等禁止条約の批准国です。どのような理由にしろ、盗難文化財の原則返還がされるべきです。どのような理由であれ、盗難文化財は一度日本に返還されるのが条約で定められています。

文化財不法輸出入等禁止条約

なぜこのようなことが起きるのでしょうか、これは韓国の司法が法律や条約を跳躍して、韓国国内の「情緒」を読んでしまう、「韓国情緒法」と揶揄される事情があるからです。

少なくともこれまで日韓関係は韓国の司法によって悪化してきました。たとえば、慰安婦問題では、日韓請求権協定で賠償問題は終了したはずなのに、2012年に韓国政府に慰安婦問題の解決を求める判決を出したことがあります。慰安婦問題のあとは、徴用工問題もこれから懸念される問題です。

www.sankei.com

ほかにも産経新聞の記者が韓国で名誉毀損の罪で、出国禁止処分を受けたのも記憶に新しいでしょう。韓国の名誉毀損罪については、つい先日パクユハ氏の「帝国の慰安婦」訴訟も、国際的に見れば正常ではないでしょう。

japanese.yonhapnews.co.kr

もちろん世界各国を見ても、国内の状況が反映されることがない司法は皆無でしょう。問題なのは韓国が経済規模が大きい通商国家であるということです。たとえば、各国の企業が韓国でビジネスを行った場合、「国民情緒法」によって損を被ったというケースが多くなってしまう場合、通商国家韓国の国益は毀損されてしまうでしょう。

ですので日本にできる対抗手段は、韓国の司法によってこのような判決を受けたと国際社会にアピールすることも一つの手段ではないでしょうか。国際社会の目があれば、韓国の司法も常識はずれの判決は出せないでしょう。

歴史認識の超えちゃいけないライン考えろよ。

www.asahi.com

河村氏は「市民虐殺はなかったのではないか。通常の戦闘行為はあったが、政府見解でも『虐殺』は認めていない」とも述べた。一方で政府は、被害者の人数は諸説あるとしつつ、「日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」(外務省ホームページ)との見解を示している。

あまりにも軽率な発言であることは間違いありません。数年前に橋下徹大阪都知事が慰安婦問題についてコメントし、様々な方面から批判されましたが、それと同じぐらい愚かな発言であることは間違い無いと思います。 

この発言の何がまずいのでしょうか。日本政府としては「非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」と日本政府のステートメントとして表明しているのに、彼は自分勝手にその認識を捻じ曲げて解釈していることです。

個人的にはこれが国際問題、特に尖閣諸島の領有権問題に飛び火することが一番日本政府にとってまずいことです。中国政府は尖閣諸島を武力を使って領有権を主張しておりますが、尖閣問題を歴史問題の一端であると主張しています。つまり、尖閣諸島で日中が対立している中でのこの発言は、中国政府の主張に利する結果になってしまうわけです。国際世論の中で「日本は歴史問題で反省していないから正直どっちもどっち」の雰囲気になってしまうことが一番まずいのです。まさに「百害あって一利なし」や「一番の敵は愚かな味方」なわけです。

慰安婦問題や南京事件について自説を主張して墓穴を掘ることはもうやめてほしいと思う所存です。