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東アジアの風見鶏

政治と外交と軍事についてです。

文在寅大統領によって日韓慰安婦合意は破棄されてしまうのか。

韓国で大統領選挙が行われ、左派で親北朝鮮の文在寅氏が当選しました。
日本としては保守系の大統領から革新派の大統領に変わるわけですから、最も気になるのは外交関係、特に2年前に合意された「日韓慰安婦合意」だと思います。

 

そもそもこの慰安婦合意について書いた前回のエントリで、反論を述べたブコメがあったので、それを引用しながら慰安婦合意の展望について書きたいと思います。

 

慰安婦合意とは

慰安婦合意とは、日韓の間で慰安婦問題が何度も蒸し返され、その慰安婦問題について「最終的」に「不可逆的」に解決したと日韓両政府がみなした合意です。
そのなかで日本政府は韓国の政府が立ち上げる和解・癒やし財団に10億円拠出する義務があり、韓国政府はその財団の運営、そして大使館前の慰安婦像の撤去が義務になっております。つまり日韓両政府の双方が納得したからこそ出来た合意なのです。ですが前回の記事のブコメでこのようなコメントがありました。

usi4444 合意だからOKキリッ! って、法外な高金利サラ金の消費金銭貸借契約やブラック企業雇用契約、マルチまがい商法の売買契約だって全部合意によるものだけど、一方による欺瞞行為が含まれていますよ。

Usi4444氏はそもそも日本の民法国際法を混同していますし、この合意は日韓両政府が文言を作成しました。韓国の中央日報によれば、「最終的に」という文言は日本が、「不可逆的に」という文言は韓国が提案したことが明らかになっています。

japanese.joins.com

ですので韓国側はこの合意を日本側と合意できる範囲で、文言を変更できる権限を持っていたわけです。それを考慮せずに、国内の風向きが変わったから破棄するという考え方は単なる無責任です。

ですがこのようなブコメもありました。

coper 「溜飲が下がらないだけ」:そういうものを「最終的かつ不可逆的な決着」とアピールするのだから、欺瞞と言われても仕方がない。この人、この件では「お上が合意したことに一切文句言うな」と必死。


Coper氏は勘違いしていますが溜飲が下がらないのはこの場合韓国の国民です。そして最終的かつ不可逆的な決着としているのは、ほかならぬ韓国政府です。ですので、韓国政府による韓国国民への欺瞞というのであれば意味は通じます。

 

日本の左翼の不思議なところはこの慰安婦合意は日韓の両政府によって出された合意なのに、この合意を批判する先が日本政府のみということです。

 

そもそも慰安婦問題を含め日韓の賠償は1965年に日韓の間で締結された日韓請求権協定で、「完全かつ最終的に解決」されている問題です。ですが、盧武鉉政権で「慰安婦問題は日韓請求権協定に含まれない」と立場を180度変え、それに追随するように2012年に韓国の司法が「韓国政府が慰安婦問題に取り組まないのは憲法違反」として蒸し返してきました。そして日本と韓国の政府が妥協できるギリギリのラインで合意したのが、今回の慰安婦合意だったわけです。

 

新しく大統領になる文在寅氏は選挙期間中に何度も「慰安婦合意を破棄する」と述べていますが、さすがに国家間の合意を一方的に破棄することの国際的なダメージは文氏も理解できていると予測されます。大切なのは「韓国は後進国だから、慰安婦合意を一方的に破棄するだろう」と一方的に決めつけてはいけないということです。「韓国は後進国」だと決めつけた瞬間に韓国を見くびってしまう恐れがあるからです。日本に必要なのは軍事・安全保障の面で韓国と協力し、慰安婦合意の問題では外交的な優位を保ちつつ、韓国が慰安婦合意を履行するのを促すことではないでしょうか。