東アジアの風見鶏

政治と外交と軍事についてです。

リチャード・マクレガー「中国共産党 支配者たちの秘密の世界」

書評です。  

中国共産党 支配者たちの秘密の世界

中国共産党 支配者たちの秘密の世界

 

 中華人民共和国を支配する中国共産党について書かれた本です。中華人民共和国憲法よりも上位に位置する中国共産党は、社会のあらゆる面で矛盾が生じさせています。その中で最たるものは「社会主義市場経済」です。

政治の面は中国共産党が支配し、経済の面では市場経済を導入する。「社会主義市場経済」は中国最大の矛盾です。なぜこのようなことが中国は起きるのでしょうか。

この本のあとがきでもこのように述べられています。

毛沢東後の共産党が「経済成長」と「ナショナリズム再興」という二つの基礎を強化してきたと言うことだ。

中国共産党は「経済成長を達成した」ことを喧伝したことに加え、「中国共産党大日本帝国を倒したのだ」という形でナショナリズムを煽ります。そうすることで中国共産党による支配を正当化したいのです。

また、中国共産党が最も恐れるのは自らの正当性を批判する言説です。中国のネット上では中国共産党を批判する者がいないか監視されます。

更に、経済的に豊かになった中国では民主化を求める運動が多くあります。2010年にノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏は中国の基本的人権民主化の運動を行っていましたが、中国政府によって投獄され、2017年に亡くなりました。

民主化の声を抑えつつ、経済成長のため国営企業中国共産党の息がかかった人物を派遣したり、抗日施設を全国各地に設置したりするのは、自らの正当性に傷がつくのを恐れているからです。

このように中国共産党がどのような行動原理で動いているのか、それはどのようなメリット・デメリットがあるのかを知りたい方には本書がオススメです。